CPAP

ちどり内科・呼吸器内科クリニック 院長
竹島 英之

資格

  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 肺がんCT検診認定医師
  • 難病指定医
  • 身体障害者福祉法指定医(呼吸機能障害)
  • 医学博士(東京大学)

睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療には、寝ている間の呼吸を助ける装置であるCPAP(シーパップ)がよく使われています。

しかし、マスクの装着感や使い方や、治療がどのくらい続くのかといったCPAPに対する不安は多くの人が抱えています。

このページでは、CPAP治療の目的や仕組み、メリット・デメリットについて説明します。

CPAP治療に興味があるけれど、どんな治療かよくわからず不安を感じている人や、これからCPAP治療を始める人もぜひ参考にしてください。

「CPAP」治療の特徴

  • 呼吸器内科専門医として、睡眠時無呼吸症候群の経験が豊富な医師が診察いたします

  • CPAP療法はもちろん、患者さんに合わせてほかの治療法もご提案可能です

  • 検査機器は自宅に送付しますので、手間なく検査ができます

CPAP治療とは

CPAPは「Continuous Positive Airway Pressure(持続陽圧呼吸療法)」の略です。名前の通り、睡眠中に空気を送り込むことで気道を確保する治療法です。

CPAPを使うことで、睡眠中の無呼吸や低呼吸が減り、深い睡眠が得やすくなります。これによって、睡眠の質が良くなり、日中の眠気や疲れが軽くなります。

当院のCPAP治療では、専門医が患者さんそれぞれの症状に応じて適切なCPAP圧を決め、使用状況や治療効果を管理し、継続的なケアを行っています。

CPAP治療に期待できる効果は以下のとおりです。

院長

竹島 英之

CPAPは、睡眠中の気道に優しい風を送り込むことで、まるで体の『空気の通り道』を確保してくれるような治療法です。

お薬や手術と違い、体に負担をかけずに毎日安心して使えて効果も実感しやすいです。

CPAP治療の目的

CPAP治療の主な目的は、睡眠時無呼吸症候群を抱える人に対して、睡眠中の無呼吸や低呼吸を抑え、酸素レベルの低下を防ぐことで、質の高い睡眠を取り戻すことです。

また、睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる合併症(高血圧、心血管疾患、脳血管疾患、生活習慣病など)のリスクを減らすことも目的の1つです。

CPAP治療の仕組み

CPAP治療とは、専用のマスクを装着して圧力をかけた空気を送り込み、舌根(舌の奥の部分)が気道へ落ち込むのを防ぐ治療法です。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、眠っている間に舌根が落ち込んで空気の通り道を塞いでしまいます。空気が通れず気道が閉塞するため、眠っている間の呼吸が不十分になり、日中の眠気や集中力の低下が起こります。

CPAP治療は患者さんが眠る時、専用の機械を装着して行う治療法です。鼻にマスクを被せて圧力がかかった空気を送り込み、舌根により閉塞していた部分に空気の通り道を確保します。

CPAP装置

CPAP装置は、空気を送り出すための機械本体、マスクと本体を繋ぐチューブ、そして鼻に装着するマスで構成されます。

空気圧

装置は、患者さんの状態に合わせて設定された一定の圧力で空気を送り込みます。この圧力は、気道を広げるためのもので、無呼吸を抑制します。

マスク

鼻に装着されたマスクを通して、設定された圧力の空気が気道に送り込まれます。

気道の確保

CPAPによって送り込まれた空気の圧力で、睡眠中に閉塞しがちな気道が広げられ、呼吸がスムーズになります。

効果

CPAP治療により、睡眠中の無呼吸やいびきが軽減され、深い睡眠が取りやすくなるため、日中の眠気や疲労感が改善されることが期待できます。

CPAPのメリット・デメリット

CPAPは睡眠時無呼吸症候群(特に閉塞型)に対して非常に有効な治療法であり、QOLを改善する手段となります。ただし、人によっては装着感・維持管理・生活習慣への適応などの課題もあるため、医師と相談しながら、自分に合った方法で取り入れることが重要です。CPAPのメリット・デメリットをそれぞれ詳しく解説します。

メリット

睡眠の質の改善

CPAPは気道を空気で開いた状態に保つため、無呼吸やいびきを防ぎ、断続的な睡眠中断を減らします。結果として深いノンレム睡眠やレム睡眠が得られやすくなり、翌日の眠気や倦怠感が軽減されます。

日中の集中力・作業効率の向上

無呼吸による睡眠の質の低下は、日中の眠気・注意力の低下を引き起こします。CPAPにより、日中のパフォーマンスや安全性(例えば運転中の居眠りリスク)が大きく改善されます。

高血圧や心疾患リスクの低下

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中などのリスク因子とされています。CPAPを継続使用することで、夜間の低酸素状態が改善され、これらの合併症の予防につながります。

パートナーや家族への配慮になる

いびきが改善されることで、同室で寝ているパートナーの睡眠の質も向上します。その結果、家庭内のストレスや不和の解消にもつながるケースがあります。

外科手術や薬が不要

CPAPは外科手術や薬を使わずに効果が得られる治療法であり、副作用が比較的少ない点も大きなメリットです。

デメリット

装着への不快感・慣れにくさ

マスクの圧迫感やチューブの取り回しなどにより、違和感・圧迫感・閉塞感を覚える人もいます。特に初期は装着に慣れるまで時間がかかることがあります。

機器の携帯性・旅行時の不便さ

CPAP装置はサイズが大きく、使用時には電源も必要です。そのため、出張や旅行時に不便を感じる人が多いです。海外旅行では電圧・変換プラグの問題も発生します。

乾燥や鼻づまりなどの副作用

空気が鼻腔に送られ続けることで、鼻や喉の乾燥・鼻づまり・口呼吸の促進といった副作用が生じることがあります。これにより睡眠の快適さが損なわれる場合もあります。

装置の維持管理が必要

マスク・チューブ・加湿器などは定期的な清掃・消耗品の交換が必要です。清潔に保たないと感染症のリスクや機器の故障につながることもあります。

継続使用へのモチベーション維持が必要

CPAPは基本的に一生続く治療です。短期間では根本治療にはならず、効果を持続させるには毎晩使用する必要があります。この継続性が心理的・生活的な負担になる場合があります。

CPAPはいつまで使う?

CPAPは多くの人にとって生涯にわたる管理型の治療です。睡眠時に気道が塞がるのを防ぐために空気の圧力をかけ、無呼吸やいびきを物理的に抑えるものであり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因そのものを取り除く治療ではありません。

そのため、CPAPをやめると再び無呼吸が起こる可能性が高いため、基本的には継続が必要とされます。

ただし、条件が整えば中止できることもあり得ます。 特に肥満が主な原因だった場合、体重減少により気道の圧迫が軽減され、無呼吸が改善されることがあります。

そのほか、扁桃腺摘出などの外科的手術やマウスピースへの切り替えが効果的だった場合や生活習慣改善により症状が改善したときなどです。

CPAPの使用の中止や中断を希望する場合は、睡眠検査などの医学的評価を受けたうえで医師と慎重に判断しましょう。

よくあるご質問

Q 症状が出なくなったため、CPAPの使用を中止してもよいですか?
A

CPAPは対症療法であり、自己判断でやめると睡眠時無呼吸症候群が再発したり、症状が悪化したりする可能性があります。

CPAPは、使用している間、無呼吸や低呼吸を改善する効果があるもので、もとの睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治すものではありません。

いびきなどの症状が改善したと感じても、自己判断で使用を中止することは避けてください。CPAPによる治療の中止を希望される場合は、必ず医師にご相談ください。

Q CPAP使用中に乾燥を感じるのですが、どうすれば良いですか?
A

部屋を加湿したり、CPAP用の加湿器を使用したりしましょう。

寝室の温度や湿度は、睡眠の質を向上させるうえでも重要なポイントです。冬場はとくに寒すぎないように、就寝前に室内を温めておきましょう。室内の湿度は季節を問わず50〜60%を保つように調節すると乾燥しにくく、睡眠に適した環境といえます。

口呼吸が原因の場合は、口を閉じて寝るように心がけましょう。あごを抑えるバンドなどを使用することで口の開きを防ぐことができます。口が開かないようになると睡眠中ののどの乾燥も防ぐことが可能です。

また、鼻づまりがあると口呼吸になるため、鼻づまりによる乾燥を感じる場合は点鼻薬の併用により改善することもあります。

まずはお気軽に医師にご相談ください。

Q CPAP装置から送られてくる酸素は濃縮されていますか?
A

CPAPは、装置のなかのモーターが作動することで、外気に圧力をかけてマスクへと流しています。そのため、酸素濃度はお部屋の空気と同じです。

Q CPAPには消耗品はありますか?どれくらい使えますか?
A

CPAP療法で使用するマスク、チューブ、フィルターなどの部品は、使用状況や材質によって劣化するため、定期的な交換が必要です。

マスクのクッション部分やフィルターは、使用頻度や皮脂、洗浄頻度などによって劣化するため、3ヶ月から半年に1回程度、マスクやチューブは1年に1回程度の交換が推奨されます。

CPAP機器本体は、これまで約3年に一度を目安に交換を推奨しておりましたが、近年は耐久性が向上しており今後5〜7年程度の交換になる見込みです。破損や使用状況によっては交換期間が短くなることもあります。

マスクが古くなるとフィット感がなくなり、治療効果が低下する要因になります。フィット感がなくなったと感じたときには、医師に相談してください。

Q CPAPマスクの装着感や使い方はどんな感じですか?
A

CPAPマスクの装着感は、個人差やマスクの種類によって異なります。一般的に慣れるまでの期間は、数日から数週間、場合によっては1ヶ月以上です。最初は違和感や圧迫感、漏れによる不快感を感じることがありますが、適切なフィッティング調整や慣らし運転を行うことで、快適にCPAP治療を継続できるようになります。

マスクの種類や使い方の詳細は製品によって異なるため、必ず取扱説明書を確認しましょう。装着時の注意点は以下のとおりです。

  • マスクと顔の間に隙間があると、空気漏れの原因になります。
  • ストラップを締めすぎると、痛みや赤みの原因になります。
  • 顔を動かした時にマスクがずれないように、適切な締め付け具合で固定しましょう。
  • マスクは毎日清潔に保ちましょう。
  • マスクやチューブは定期的に交換しましょう。
Q 一日何時間くらい使用すればよいですか?
A

1日あたり最低でも4時間以上のご使用をお勧めしています。

効果を最大限に得るためには、毎晩できるだけ長時間、理想的には就寝から起床まで装着し続けることが推奨されます。

CPAP治療は、寝ている間に装置を装着することで、気道を広げて無呼吸や低呼吸をなくし、脳や体への負担を軽減する治療です。

一晩のうちに数時間にわたって断続的な無呼吸が繰り返されると、心臓や血管に負担がかかってしまいます。そのため、できるだけ長い時間、特に眠りが深くなる時間帯にCPAPを装着していただくことが大切です。

4時間以上のCPAP使用により、日中の眠気や高血圧、心血管疾患のリスク軽減など、様々な効果が期待できます。

ただし、CPAPの使用時間と効果には個人差があるため、医師と相談しながら、最適な使用時間を見つけることが重要です。

最初は違和感があるかもしれませんが、慣れるまで装置の使い方を一緒に工夫していきましょう。

当院のCPAP治療について

  • 呼吸器科の専門医
    兼 指導医在中

  • 完全予約制
    待合室から個室にて対応

  • 土曜日も
    17時まで診療

※ 日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医 竹島 英之

院内すべてがバリアフリー対応。完全個室で、診察・治療まですべてそのお部屋で完結。

呼吸器内科専門医として、睡眠時無呼吸症候群の経験が豊富な医師が診察いたします。CPAP療法はもちろん、患者さんに合わせてほかの治療法もご提案可能です。検査機器は自宅に送付しますので、手間なく検査ができます。